原体剣舞連
曲名は 無伴奏混声合唱曲『原体剣舞連』。
宮沢賢治の詩に、作曲家のなかにしあかね先生が曲をつけた、躍動感溢れる作品です。
この曲のモティーフとなっている原体剣舞は、岩手県の旧田原村原体地区(現在の奥州市江刺地区)に伝わる、12歳までの子供が舞う稚児剣舞です。子供の純粋さをもって先祖の霊を沈めようとする念仏踊りの一種と考えられています。舞手たちは、鶏の黒尾がついた頭巾をかぶり、赤い陣羽織をはおって踊ります。その横で、大人たちが太鼓をたたき、緊迫した独特の雰囲気をつくりあげます。
宮沢賢治は1922年8月に、地質調査のため田原村を訪れた際にこの舞に出会い、その体験をもとにこの詩を書き上げました。
リズム感と色彩感に溢れた詩を、なかにしあかね先生が、鮮やかで迫力のある世界観として音にうつしだしました。
『原体剣舞連』について、あかね先生はこう書かれています。
「『原体剣舞連』は、合唱団Épiceさんのために書かせて頂いた作品です。Épiceさんのエネルギー、すばらしく集中力のある勢いを生かし、おおらかさと自在な音楽性を発揮できる作品を書きたい、という思いと、宮沢賢治の大地に根ざしていながら宇宙的に浮遊する孤独と、それらが私の中でパズルのピースのようにぴたっとはまって生まれた作品です。8声部が複雑に役割を変えながら、大地にこだまし、宇宙へと昇華し、最後に再びしっかりと大地を踏みしめます。」
(第11回合唱団Épice定期演奏会 パンフレット より抜粋)
きたる2010年7月4日 銀座王子ホールで行われる『なかにしあかね作品展』、そして10月9日に岩手県は一関市で開催される『東日本合唱祭』において、原体剣舞連を演奏いたします。
曲を生み出した先生の下で、そして原体剣舞連が生まれた土地で、歌うことができる喜びを胸に、合唱団Épiceが魂を込めておおくりいたします。
皆様、ぜひ会場に足をお運びいただき、ひととき剣舞の音色に胸を躍らせていただければと思います。
団員一同、会場でお会いできることを楽しみにしております。
2010年 音楽監督 兼 常任指揮者 早川幹雄
原体剣舞連の楽譜が発売になりました

マザーアース株式会社より、なかにしあかね先生作曲の『原体剣舞連』が販売されました。
定価1,680円です
詳しくは、マザーアース株式会社 ホームページ、または、なかにしあかね 公式ホームページをご覧ください。
なかにしあかね作品展 出演
王子ホールは客席が300席ほどの小さなホールですが、音響が大変すばらしく、歌い手も客席も、音楽の暖かい響きで包んでくれます。
なかにしあかね作品展では、あかね先生の最新の作品を、選りすぐられたプレイヤーが饗宴し、音楽のふれあいを楽しむことができるすばらしいものでした。
その最後を飾る原体剣舞連を歌うことができたことは、大変うれしいことですし、これからの自信にもつながりました。
あかね先生、ありがとうございました。